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ネットショップ担当者が陥りがちな罠(1)商品はたくさん陳列したほうがよいか

2020年7月25日| EC担当者が陥りがちな罠, Webマーケティング, You Tube

「ネットショップ「勝利の法則」 ランチェスター戦略」(マイナビ出版刊)

■EC担当者が陥りがちな罠(1)商品はたくさん陳列した方がよい?

以前の動画でも「商品を選べない→選べるようにする」というところで「集客商品」を
1商品選定することで月商200万円→1450万円になった事例を解説しました。
売上高構成比率とキー・プロダクトの回でも、まんべんなく同じような商品が売れているよりも、
特定の商品が全体売上の25%以上売れている時の方が月商は格段に高くなる、という説明を
させていただきました。キー・プロダクトが全体の売上の35~40%のシェア率が一番月商が大きくなる、
ということも説明しました。
しかしそれでもこんな反論をされるEC担当者さんもいらっしゃいます。
「それでは、イオンモールやコストコはどうなんですか?たくさん商品店内に陳列されていますよね?
それでも売れてますよね?儲かっていますよね?
やはり商品はたくさん陳列した方がよいのではないでしょうか?」
この質問には
1)集客の観点
2)ビジネスモデルの観点
の二つから説明させていただきます。
1)集客の観点からは、イオンモールは、主にチラシ等での告知を店舗周りから、車で来店できる商圏に
行い、知名度とブランド力で集客しています。仕事で伺っている岡山では駅前の好立地となっています。
コストコは、大量買いが多いことが想定されるため、車のアクセスの良い物件を選んで出店している
ようです。会員にならないと入店できないため利用者は全員会費を払って会員になっています。
そこへのメールマガジン等が集客の柱となっています。
いずれにしても、アクセスのよい立地、チラシ、会員へのメルマガでの告知を行い、コストコでは、
集客商品としては「フードコートにおけるホットドッグは、おかわり自由なドリンク付きで180円」が
その役割の一つとなっていると思います。
イオンはチラシの販促商品が、コストコはフードコートが集客商品になっているのです。
もちろん両店とも、大量仕入によるコストリーダーシップ戦略を実施、価格優位性があることは
言うまでもありません。
2)ビジネスモデルの観点からは、イオンモールは、自社販売の商品については、低価格なので
PB商品を除いては、利益は少ないか、ほとんど出ていないと予測されます。
しかしその安さで集客を行い、イオンモールへの集客の対価として出店企業からテナント料を
得ることで収益を得ています。もうひとつのキャッシュポイントは、金融系による利益です。
イオングループのキャッシュレス決済比率は70%となっていて、内訳はクレジットカード40%、
WAON30%となっているようです。
コストコも商品代金には利益は10%前後しか乗せておらずその安さが集客の源泉になっています。
ではどこで利益を得ているのかというと年会費3,850円のビジネスメンバー、
年会費4,400円のゴールドスター会員の会費で利益を得ているのです。
ちなみにコストコのSKUは4000と言われていて、コンビニの3500と近い数字となっています。
あの広い店舗で、です!
おそらく在庫効率の高さも利益、そしてキャッシュフローに大きく貢献していると思います。
つまりこの2社は「薄利多売」ビジネスモデルでは無く、薄利多売は集客手段になっている、
ということです。
我々が、自社ECサイトやインターネットモールで薄利で販売するのは、たとえていうならば
コストコが年会費無料で同じ価格で販売しているのと同じことをやってしまっていることになります。
ビジネスモデルとキャッシュポイントを理解すると、大手の物まねがいかに危険なことか、
が分かってくると思います。
しかも、自社ECサイトの場合、駅地下立地や車でのアクセスのよい立地というのは存在しなくて、
たとえていうならば山奥の1軒屋、無人島に出店しているようなものです。
ですから専門性を高めて、ターゲットキーワードで検索順位で上位を狙わない限り、
ユーザーは誰も来てくれないのです。
いわゆるロングテールは集客力の低い店舗にとっては、少ないアクセスを稼ぐだけで終わってしまう
可能性が高いのです。
商品の一点集中というのは、取り扱い商品数を多くすることがいけない、と言っている訳ではなく
「集客商品」「本命商品」を1商品ずつトップページのファーストビューに掲載しましょう、
集客するターゲットキーワードをしっかり選定してSEOで上げていきましょう。
ということを申し上げているのです。
必然的にトップページのファーストビューには商品陳列数は少なくなるのです。

売上高構成比率とキープロダクト

2020年7月19日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ運営のコツ, ランチェスター経営戦略

■売上高構成比率とキープロダクト

こんにちは。
EC実践会講師の水上 浩一です。
今回は「売上高構成比率とキープロダクト」についてお話をさせていただきます。

EC実践会のノウハウの根幹戦略は「ランチェスター戦略」です。
ランチェスター戦略の中で最重要項目と言えば「一点集中」と「差別化」だと考えています。
差別化については、拙著「キュレーションマーケティング」でリリースさせていただいた
10の差別化フレームワークがあり、これは2018年11月に上梓させていただいた
「SEOに強い!ネットショップの教科書」でも事例を新しくして説明させていただいております。
今回は「一点集中」について説明いたしますが、一点集中の中でも「商品の一点集中」が
今回のメインとなります。
いわゆる「集客商品」と「本命商品」です。

「売上高構成比率」というのは、これまでもセミナーやEC実践会でお伝えしていた
「たとえば月の売上のうち、1位の商品は全体の何%のシェアですか?
2位の商品は全体の何%のシェアですか?」といった全体の売上高のうち特定の商品
特に「集客商品」と「本命商品」を含めた売上上位販売商品の占める割合のことを指します。
たとえば、あなたのネットショップの1位から5位までが、
1位商品:9.2%
2位商品:8.8%
3位商品:8.1%
4位商品:7.6%
5位商品:7.2%
という結果になった場合、大抵は「当店はいろいろな商品がまんべんなく売れているバランスの良い
ショップだ」と考えると思います。
しかし、実はこの結果は「ユーザーがあなたのショップでどの商品を買ったら良いかわからず、
商品を選べないでいる、迷っている数字」と言えるのです。
この状態のショップがダメだ,と言っている訳では無く、改善することでもっと転換率が上がり、
売上の伸びしろがかなりある、ということを申し上げたいのです。
選び方ページがしっかり作られていたり、シーン提案バナーやシーン提案ランキングがしっかりと
設置されていて「選び安くなっているショップ」の場合、たとえば、
1位商品:25.2%
2位商品:9.8%
3位商品:8.1%
4位商品:7.6%
5位商品:7.2%
のように1位商品が25%以上のシェアを獲得していて、2位の商品と10ポイント以上の差が
ついている状態に「確実に」なっています。
まんべんなく売れていた状態からこのように1位商品が抜け出た状態になると、確実に月商ギネスを
更新するぐらいのビジネス・インパクトがある売上になっています。
25%以上売れ出した売上高構成比率1位の商品のことを「キー・プロダクト」と呼ぶことにします。
ショップの成功要因(KSF:キー・サクセス・ファクター)を生み出す商品(プロダクト)という
意味合いです。
キー・プロダクトの売上高構成比率目標値は、次のようになります。
——————————————————-
<キー・プロダクトの売上高構成比率目標値>
下限目標売上高構成比率:1位→25%(2位と10pt以上の差を付けるのが条件)
効果的目標売上高構成比率:1位→35%~40%(全体の月商が最も高くなる比率)
上限目標売上高構成比率:1位→70%(月商の上限値、次の集中商品を選定する時期)

——————————————————-
この数字は、数多くのデータを分析した結果見つけたのですが、結果的にランチェスター戦略における
「コープマン目標値(註)」と言われている、マーケットシェアにおける1位必達のシェア率と
合致したのです。もちろん意識はしていましたがここまで一致するとは驚きです。
<コープマン目標値(註)>
下限目標値:26.12%(26.1%)
必達目標値:41.71%(41.7%)
上限目標値:73.88%(73.9%)

()内の数字を覚えておけばよいと思います。

(註)ランチェスター経営の竹田陽一先生によると一般的には「クープマン」として知られているが
音楽家のトン・コープマン(Ton Koopman)と同じ綴りであることから「コープマン」が正しい
とおっしゃっています。本稿では「コープマン」と表記させていただきます。

ネットショップ広告運用の効率化

2020年7月11日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ運営について

■ネットショップ 広告運用の効率化と広告費のアクセルの踏み方

今年、月商ギネスを更新した店舗さんの事例です。
月中ぐらいで、良い売上だったので広告の反応はどうかな、と思って伺ってみたら、
コンバージョン数が多く、コンバージョン率も高く、クリック率も高く、さらにはCPAも低かったのです。
ところが、インプレッションシェア損失率(予算)は、かなり高い%になっていたのです。
この指標は、1日の予算が低いため、1日の途中で予算切れが起こってしまい、
そこからは広告が表示されず機会損失になっている割合を示しています。
たとえば損失率50%だったら半日広告が表示されない、ということになります。
コンバージョン数が多く、コンバージョン率も高く、クリック率も高く、さらにはCPAも低かったのに、
予算が足りないのが原因で広告が出ていないとしたらどう思われますか?
当然「もったいない!もっと予算を上げましょうよ!そうすればもっと売れると思いますよ」
と言いたくなりますよね?でも、当事者はたとえば月間の広告費は10万円と決めていたとしたら、
増額するという選択肢は持ちません。さらにネットショップ担当者さんは、仕事も多く、
管理画面も見ないケースが多いため現状を把握できていないことも多いのです。
そこで状況を説明して「これはアクセル全開で運用して良いケースです!是非増額してください。
最低でも2倍の予算にしてもよいと思います」とアドバイスしました。
幸いアドバイスを聞いてくださり、売上は急上昇、見事に月商ギネスを更新されました。
いまのは広告にリソース、この場合は広告費をもっとかけましょう、というアドバイスだったのですが、
もう一つ広告費が分散しているケースもあります。広告費が分散しているケースは
(1)キーワードが分散している
(2)多種の広告を少額ずつ運用していて効率が悪い、という二つのケースがあります。
今回は(2)のケースについてお伝えします。
(2)多種の広告を少額ずつ運用していて効率が悪い、というケースは、
たとえば広告運用を考えたとき、
・リスティング広告(月額5万円)
・ディスプレイ広告(月額5万円)
・Facebook広告(月額4万円)
・Instagram広告(月額3万円)
・YouTube広告(月額3万円)
という運用ポートフォリオだとすると、おそらくこのケースは、広告費(リソース)の分散を招き、
効果は限定的ではないか?と予想されます。
これは実際にあった事例で、そのときに「これだと全体で20万円の広告費なのですが、
たとえばリスティング広告には5万円しか使っていないので、1日1600円の予算となり、
1クリック@100円だとすると16回、@50円だったとしても32回クリックされたら予算切れになって
しまいます。購買確率の高いキーワードだったとすると、これは相当な機会損失だと思います。
この運用ポートフォリオを拝見すると、コンバージョンをメインで考えるならば、
リスティング広告に広告費(リソース)を集中させた方が、売上UPを実現できる可能性が
高くなると思います」とアドバイスさせていただきました。
実際にこのときはその通りにしていただい、広告効果が劇的に向上しました。

ネットショップターゲット絞り込みの勘違い

2020年7月4日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ設計

■「ネットショップ ターゲットの絞り込みの勘違い」

マーケティングのセオリーにフィリップ・コトラーの提唱した「STP分析」があります。
1)セグメンテーション(Segmentation)
2)ターゲティング(Targeting)
3)ポジショニング(Positioning)
の略です。
このうち
1)のセグメンテーションは市場を細分化して市場の全体像を把握します。
2)のターゲティングでは細分化した中から狙うべき市場を決定します。
ちなみに
3)のポジショニングは競合他社との位置関係を決定、自社の立ち位置を明確にします。
セグメンテーションとターゲティングの分析プロセスを「ターゲットの絞り込み」と
考えることもできます。
このターゲットの絞り込みを行うときには「6R」というフレームワークが便利です。
Realistic scale(十分な規模かどうか)
Rate of growth(成長性)
Rival(競合の状況)、
Rank(優先順位)
Reach(到達可能性)、
Response(測定可能性)
ここでは
Realistic scale(十分な規模かどうか)
Rate of growth(成長性)
について検討していきます。
「十分な規模かどうか?」については、
・市場規模(市場キャパ、ターゲットキーワードの月間平均検索数)
・一人当たりの消費量(消費額や消費期間)
を検討することになります。
ここに「成長性」を付け加えることになりますが、成長性には
・市場成長率が高いか低いか、もしくは衰退しているか
・ターゲットキーワードの拡張性(商品を増やせるか?カテゴリを増やせるか?)
を検討して絞り込んだターゲットの属する市場を分析、判断していきます。
たとえばシニアファッションを考えてみましょう。
70歳以上の人口は2715万人とのことです。(2019年)
購入者はおそらくお子さんが多いと思います。特に娘さんでしょうか。
アイテムはトップス、ズボン、下着、靴下、部屋着、パジャマ等、多くのカテゴリキーワードがあります。
この辺はカテゴリターゲットキーワードの拡張性が高いと言えると思います。
上下と下着を合わせて5~6セットは持っているでしょうか?
リピート性も高いことが予測できます。団塊の世代が70代になったことと
平均寿命が延びていることもあり、
今後はしばらく市場規模が安定、もしくは徐々に拡大していくと思いますので成長性も高いと考えます。
ターゲットキーワード「シニアファッション」は月間平均検索数は2400回とミドルレンジのキーワードで
あり集客力は中程度。
同じ高齢者がターゲットの場合でも「介護用パンツ」となると480回、他のキーワードでも1000回
ぐらいとシニアファッションよりも集客力が低くなります。消費期間は、実はあまり長くありません。
単価も3000円前後。
カテゴリが少ないので、専門店の場合キーワードの拡張性が低い。
この場合はシニアファッション等のカテゴリの1つとして品揃えすることが考えられます。
もしくは通常の下着の1カテゴリとして介護用パンツを品揃えするという選択肢もあります。
いずれにしても専門店にするのではなくてカテゴリの一つとして販売するか、
介護用品を数多く取りそろえる等の品揃え、カテゴリ展開可能な設計が重要となります。
このように「ターゲットの絞り込み」は、多角的な視点から分析していき、判断することが重要です。

ネットショップ 運営における情報収集の方法

2020年6月20日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ運営のコツ

■ネットショップ運営における情報収集の方法

先日、いきつけの美容院にいきました。
その美容院の担当者さんは、話好きで、積極的にコミュニケーションをとってきます。
そのときこんなことをおっしゃっていました。
「水上さん、この間、経済アナリストのお客様からこんな話を聞きました。
コロナによる緊急事態宣言によって、化粧品が全く売れなくなった、らしいのです。
確かに、外出しないので化粧品は売れないでしょうね。」
美容院に行くのはほとんど土日で、土日は私にとって、セミナーコンテンツや音声コンテンツを
作る貴重な時間で、1日のほとんどをコンテンツ制作に充てています。
ですから、美容院に行くときは原稿を書きまくっている最中に立ち寄ることになります。
ですから、できれば他のことを考えたく無いので、通常は「ああ、そうなんですね」と
申し訳無いのですが適当に対応することになります。
しかし、そのときは基礎化粧品のネットショップさんの分析を行っていたこともあり、
思わず反論してしまいました。
「いやいや、それは大雑把すぎると思いますよ。化粧品には色付きのメイク商品と、
お肌をケアする基礎化粧品があります。たしかにメイク商品は、厳しいと思います。
百貨店も自粛していましたから、デパートの1階にあるメイクショップは軒並み売上ダウンしていると
思います。
緊急事態宣言で外出を控えていた女性も多いと思いますので、
自宅ではノーメイクの方も多かったと思いますし。
しかしEC実践会の基礎化粧品ショップは、前年対比273%アップ等、劇的な成果を上げています。
おそらく色付きのメイク商品は、外出自粛期間は必要無いし、百貨店が営業自粛していたので、
売れていないのだと思います。しかし、外出自粛ということは、自宅ではノーメイクであることが多いため、
むしろ素肌のコンディションが気になることになります。なので基礎化粧品が売れたのだと思います。」
実際に調べて見ると、市場調査会社さんのデータによると、口紅は約73%減とのことです。
マスク着用が影響していることは容易に想像できると思います。
日焼け止めやファンデーションも売上を落としているようです。
これは単純に外出しないために需要が減少した結果だと思います。
もう一つ考えなければならないのは「販売チャネル」です。
実店舗は百貨店も営業自粛していて、小売店も商業ビルの自粛で閉店状態。なので売上が極端に
減少していることが予測されます。しかし、先ほど申し上げた通り、その一方でネットショップを
利用されるユーザーは増えている可能性があります。
実際にEC実践会の受講者さんのネットショップは大幅に売上を上げているところが多く、
最高月商を更新されている店舗さんも数多く出ています。
2020年2月と4月を比較、Amazonは6%増、楽天市場は10.5%増だったとの情報もあります。
Yahoo!ショッピングは14.1%増だったそうです。
コロナの影響拡大後にインターネットで購入したものでは化粧品が5番目にランクインしていました。
確かに経済アナリストさんは、日本全体の小売売上を見ておっしゃったのかもしれません。
マクロな視点から見ると減少していることも十分考えられます。
しかし、販売チャネル別に調査するとまた違った側面があることも事実なのです。
外出自粛をきっかけにECサイトを初めて利用した、というユーザーが約7500名中21%だった
という調査結果もあり、ECサイトの利用者がコロナをきっかけに増加している数字も散見されます。
マクロな視点だけでは無く、多方面からの視点による情報収集が重要だと考えます。

ネットショップ顧客インサイトを重視しよう

2020年6月20日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ運営のコツ

■ネットショップ 顧客インサイトを重視しよう!

顧客インサイトとは、ユーザーの購買行動の根底に存在している潜在欲求のことです。
潜在欲求なので、ユーザーは顧客インサイトについては気づいていない場合が多いのです。
しかし、たとえば店舗の接客において、コミュニケーションを通じて、
店舗側からの質問に呼応する形で顕在化することがあります。
たとえば以前、紅茶とスイーツのネットショップを運営していたときのことです。
紅茶の茶葉は、基本100g単位での販売となっていました。ティーポットで紅茶を入れる場合、
1回あたり5g使用するので、20回分、週に1回紅茶を飲むとして2ヶ月分となります。
当店では平均年間4回から5回、紅茶の茶葉をリピート利用してくださる方が多かったと記憶しています。
紅茶の茶葉は紅茶研究家、磯淵猛先生の会社から仕入れていました。磯淵先生の喫茶店では、
自家製スコーンを提供していて喫茶店でも提供していましたし、物販コーナーでも販売していました。
喫茶店ではスコーンと紅茶のセットが人気でした。
そこで、ネットショップでも紅茶とスコーンのセットを販売したら売れるのでは無いか?と考え、
スコーンを卸していただくことにしました。スコーン2個セットを2パックと紅茶100gをセットにして
販売しました。すると、20セットがまたたく間に完売したのです。
そこで、毎月2回、このセットを販売することにしました。
ところが、数ヶ月経ったある日、お客様からメールをいただきました。
「スコーンが気に入って、毎回購入しています。しかし、購入するごとに紅茶の茶葉が100gついてきます。
スコーンが食べたいので利用しているのですが、すでに我が家には紅茶の茶葉が20袋、2キロもあります。
もうこれ以上紅茶の茶葉は必要ありません。ぶっちゃけ、紅茶の茶葉が邪魔なんです。
スコーンだけの販売を熱望いたします」
紅茶専門店が紅茶の茶葉が邪魔だと言われた訳です。
これには衝撃を受けました。でも、確かにおっしゃっていることは理解できます。
スコーンは食べたら無くなりますが、紅茶は2~3ヶ月持つからです。消費期間に大きな時差があったのです。
これが顧客インサイトです。お恥ずかしい話ですが販売側からは、わかりませんでした。
そこで、紅茶6種類のお試しセットで販売していた20g入りのパックを使って、
紅茶20gとスコーンのセットを販売することにしました。結果的にこれが大成功。
売上を上げることに成功しました。
EC実践会の多くの事例を通じて顧客インサイトのほとんどが「購入時の不安要素」
もしくは「買いたくても買えない理由」であることがわかりました。
あなたのショップの商品における「購入時の不安要素」もしくは「買いたくても買えない理由」を
明確にすることによって「転換率」を大幅に上げることが可能となります。
実際に、顧客インサイトを活用してページを改善したことで転換率を2倍にすることができた
ネットショップがあります。セッション数×転換率×客単価=売上ですから、他の変数が同じ場合、
転換率が2倍になると売上も2倍になります。

ネットショップ3つの基盤設計 ターゲット間違い

2020年6月13日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ設計

■「ネットショップ3つの基盤設計(3)ターゲット間違い→ターゲットの改善」

ネットショップの売上を上げるためには「基盤設計」が重要です。
この基盤設計は、売上が上がらない3つの理由を理解して、それを解消することによって
構築することが可能です。
売上が上がらない3つの理由とその解消法は、
(1)リソース(経営資源)が分散している→リソースの集中
(2)ユーザーが商品を選べない→選べるように改善
(3)ターゲット間違い・広げすぎ→ターゲットを修正・絞り込み
です。今回は、
(3)ターゲット間違い→ターゲットの改善
について説明いたします。

マーケティングにおいて重要な考え方にP&G社の考え方である「WHO WHAT HOW」というのがあります。
「誰に、何を、どうやって」というシンプルながら強力なフレームワークです。
このなかで「誰に」の部分がターゲティングになります。「何を」が商品、およびベネフィット、
「どうやって」がプロモーションや流通・販売チャネル
(その他ビジネスモデルもHOWに含める場合もあるようです)になります。
EC実践会ではこのHOWに「切り口」も含めています。
切り口とは「視点」のことでありそれには5つあると思っています。

<ターゲットの絞り込み5つの切り口>
・ブランド化
・専門店化
・シーン
・価格
・顧客インサイト

また、「誰に」「何を」販売するのか?の部分がターゲティングを決定付ける重要な要素となります。
ターゲティングを考えるとき必ずといって良いほど取り上げられるのが
フィリップ・コトラーの「STP」です。
セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングという観点でマーケティング戦略を考えて行きます。
同じような性質やニーズを持つ顧客のグループ(セグメント)に分けることを「セグメンテーション」、
切り分けたセグメントの中から、一つまたは複数のセグメントを対象顧客として選定することを
「ターゲティング」と言います。
たとえば「男性着物専門店」の場合、顧客セグメントは「男性」であり「着物を必要としている方」と
なります。しかし、着物ユーザーの90%は女性であり、そもそも男性の着物ユーザーは少ない。
そこでやってしまいがちなのがターゲットを広げる活動、具体的には「男性に向けた着物の良さを
伝える活動→啓蒙活動」です。
しかし、啓蒙活動はネットショップにおいては、非常に難しいのです。
何故かというと、着物に興味の無い男性は「男性着物」「男着物」では検索しないからです。
ですから着物に興味の無い男性に対しては検索エンジンマーケティングはほぼ効果がありません。
となりますと、たとえばテレビCMのようなマス広告で浸透させていくしかありませんが、
マス広告には莫大なコストがかかります。おそらく実施できるのは大手企業か、
株式市場から資金を集めることのできる一部の企業だけだと思います。
この場合は、着物に興味のある、着物を着ているユーザーに対して、着物の周辺雑貨、たとえば
バッグやストール、角帯、センス、下駄、雪駄、冬場のコート等を販売していき、
2着目、3着目の着物を狙っていく、という戦略になります。
実際にこのターゲティング変更によって前年対比130%を実現している店舗さんがいらっしゃいます。
この場合のWHO=男性着物ユーザーに対して、WHAT=着物の周辺雑貨、たとえばバッグやストール、
角帯、センス、下駄、雪駄、冬場のコート等、2着目、3着目の着物となります。
HOW(切り口)=専門店化、となりますし、現在そのお店は「ブランド化」に向けて努力している最中です。

ネットショップ3つの基盤設計 商品を選べない

2020年6月6日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ設計

■「ネットショップ3つの基盤設計(2)商品を選べない→選べるように改善」

ネットショップの売上を上げるためには「基盤設計」が重要です。
この基盤設計は、売上が上がらない3つの理由を理解して、それを解消することによって
構築することが可能です。
売上が上がらない3つの理由とその解消法は、
(1)リソース(経営資源)が分散している→リソースの集中
(2)ユーザーが商品を選べない→選べるように改善
(3)ターゲット間違い・広げすぎ→ターゲットを修正・絞り込み
です。今回は、
(2)ユーザーが商品を選べない→選べるように改善
と「売上高構成比率」ついて説明いたします。
以前、香川県に出張に行ったときのこと、サービスエリアで休憩をとったとき、ふと売店を覗いてみると、
たくさんの物産品、お土産が並んでいました。香川県といったら「讃岐うどん」しか思い浮かばなかった
ので、感激してしまい、どんな商品があるのか、近くに行ってみました。
すると、なんと数百商品並んでいたのですが、全部うどんだったのです。さすが「うどん県」、
まさにこれこそ商品の一点集中だと思い、話のネタになにか買っていこうと思い、
10分ぐらい商品を物色していました。しかし結果的になにも買わずに帰ってしまいました。
理由は簡単で、どの讃岐うどんを買ったらいいか分からなかったからです。選べなかったのです。
だって、パッケージは違えど、中身はすべて「長くて細くて、白い」小麦粉を練ったモノです。
讃岐うどん初心者にとっては、どれを選んで良いかわからなかったのです。ふと周りを見渡してみると、
数人のお客様がいらっしゃいましたが、誰一人購入する人はおらず、気がつけば誰も買わずに
帰っていきました。
ではこの売店、どうすれば売れるようになるでしょうか?
たとえば、売れ筋ランキングのPOPを設置する、売れ筋ナンバーワン、ナンバーツー、ナンバースリーと
掲載すれば、ユーザーはその中から選べると思います。もしくは、特定の商品だけを設置したワゴンに
山積みします。そうするとユーザーは「あ、このお店ではこの山積みされた商品をプッシュしているんだな」
とその商品に集中すると思います。
実際に同じ方法である地域のお土産ショップの改善提案をしたところ、その商品の売上が10倍になった
事例もあります。
ネットショップの売上UPのアドバイスをするときに、そのショップの売れ筋商品ベスト5それぞれの
売上高構成比率を算出してもらうことがあります。
1位商品9.2%、2位8.8%、3位8.1%、4位7.6%、5位7.2%のようにベスト5の商品が
どれも同じように満遍なく売れているケースが散見されます。
店舗さん側は、この結果をみて「うちのショップはどの商品も満遍なく売れていて
バランスの良いショップだ」と判断します。しかし実はこの数字は
「ユーザーがどの商品を買ったら良いかわからない状態」であるケースが多いのです。
つまり「選べない」状態である、ということを表しているデータとも言えると思います。
売れているネットショップは必ず、と言って良いほど1位と2位の売上高構成比率に
最低でも10ポイント以上の差が付いています。たとえば1位商品25.2%、2位商品9.8%と
いった具合です。
たとえば、EC実践会で当初月商200万円だった店舗さんが3ヶ月間で月商1000万円を越え、
6ヶ月間で月商1450万円、当初の7.5倍になった事例があります。
この店舗さんは、当初どの商品も満遍なく売れていた状態だったのですが、EC実践会に参加して
商品の一点集中、集客商品、本命商品の概念を学ばれ、特定の商品にリソースを集中させたところ
月商1450万円達成したときに、特定の1商品だけで全体の売上の35%を占めていました。
実は売上高構成比率35%~40%が一番総売上が高くなる比率なのです。
逆にこれ以上売上高構成比率が高まってしまうと、その商品が売れなくなる、
仕入れられなくなる等の理由によって店舗の売上が激減してしまうリスクが発生してしまうのです。
実際に売上高構成比率70%まで上がり、その後その商品のコピーが激安で出回ってしまい、
売上が40%低下してしまったショップさんもいらっしゃいました。
そのショップさんは、その事象を教訓に新商品開発を行い、
現在では当時の売上の数倍の月商をたたき出しています。

ネットショップ3つの基盤設計 リソースの分散→集中

2020年5月30日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ設計

■「ネットショップ3つの基盤設計(1)リソースの分散→集中」

ネットショップの売上を上げるためには「基盤設計」が重要です。
この基盤設計は、売上が上がらない3つの理由を理解して、それを解消することによって
構築することが可能です。
売上が上がらない3つの理由とその解消法は、
(1)リソース(経営資源)が分散している→リソースの集中
(2)ユーザーが商品を選べない→選べるように改善
(3)ターゲット間違い・広げすぎ→ターゲットを修正・絞り込み
です。今回は、
(1)リソース(経営資源)が分散している→リソースの集中
について説明いたします。
リソースというのは経営資源のことです。
経営資源というのは、いわゆる「ヒト・モノ・カネ、情報や時間」
のことを指します。
売上が劇的アップしたネットショップに共通する3つの改善点の
1番目は「リソースの分散を改善して集中させること」です。
ランチェスターの第二法則:攻撃力=兵力数2乗×武器性能
ですが、攻撃力→販売力、兵力数→リソース(経営資源)、武器性能→生産性向上のための効率化、
と置き換えてみると
販売力=リソースの2乗×(生産性向上のための)効率化
と言い換えることができます。
ここでは販売力はリソースの2乗に比例する、という部分にフォーカスしてみます。
リソース=10としますと、商品Aにリソースを集中させると、10の2乗=100の力で
販売することが可能です。しかし、商品A、商品Bの2つにリソースを分散させてしまうと、
それぞれの商品に対してリソースを5ずつ投下することになりますので、一つの商品の販売力は
5の2乗=25の力でしか販売出来なくなってしまいます。
さらに商品A、商品B、商品Cと3つの商品にリソースを分散させてしまうと、
一つの商品に対する販売力は10/3=3.3の2乗=10.89となってしまいます。
つまり、商品Aだけ販売していたときの販売力100の1/10になってしまうのです。
商品ABC合算しても30の力でしか販売できません。販売力は1/3以下に低下してしまいます。
これがリソースの分散によるリスクです。
解決方法は簡単で商品ABCに分散されたリソースを集中させれば良いのです。
具体的にはたとえば商品Aだけにリソースを集中させるのです。そうすれば、10の2乗=100の力で
販売することが可能になります。これだけで3倍以上の販売力になります。
具体的にネットショップA店、B店、C店、D店、4つのショップを運営していた会社があります。
A店は月商100万円、その他3店合算で40万円、合計140万円の月商でした。
リソースが分散していると判断、A店に集中してもらうことにしました。
すると、6ヶ月後には月商700万円を達成することが出来たのです。
月商5倍です。これがリソースの集中によるビジネス・インパクトなのです。

ネットショップ システム開発はスクラッチ?SaaSの活用?

2020年5月24日| Webマーケティング, You Tube, ネットショップ運営のコツ

■「ネットショップ システム開発はスクラッチ?SaaSの活用?」

ネットショップ、特に自社ECサイトを運営していこうと思ったときにまっ先にぶつかる問題が
「ショッピングカート等のシステムをどうするか?」ということです。
具体的には、スクラッチ開発にするか?SaaSを活用するか?という選択肢になります。
ちなみに「SaaS」は「Software as a Service」の略で、「サース」と呼びます。
ベンダーさんが提供するクラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネット経由して
ユーザーが利用できるサービスのことを指します。
(似た言葉に「ASP」というのがありますが、「SaaS」は提供されるソフトウェアを、
「ASP」はサービスを提供する事業者やビジネスモデルのことを言うようです)
「SaaS」のメリットやデメリットをまとめてみました。
1)ソフトウェアの開発不要で、導入コストが安い
ソフトウェアの開発が必要無いので、ソフトウェアの開発費用や、導入への準備期間も短期間ですみます。
そのため導入コストを大きく軽減できます。
2)ユーザー側の管理が不要、ランニングコストが安い
最新バージョンへの更新やセキュリティ対策など、すべてベンダーさん側によるバージョンアップで
対応できるのでランニングコストを低くおさえることができます。
スクラッチ開発は、この部分に費用と手間がかかることになります。
3)ソフトウェアのカスタマイズ自由度が低い
一方、デメリットとしては、ソフトウェアの機能が限定されてしまいます。
基本的にソフトウェアのカスタマイズには制約があり、ベンダーさん提供範囲外のサービスは
利用できません。自社の業務に最適のサービスが見つからない場合、提供されるサービスに合わせて、
運用や業務形態を変更・最適化する必要が出てきます。
スクラッチ開発ですと、コストの制約はありますが、基本的に自社の業務に最適のサービスを
実現することが可能です。

ここでEC実践会としての考え方をお伝えいたします。
それは「資産特殊性」を考慮に入れて判断する、ということです。
「資産特殊制」というのは「取引費用理論(TCE)」の要素の一つで、「取引費用理論(TCE」とは、
企業のあり方は「取引コスト」で決まる、という考え方です。
企業間の取引で発生するコストを最小化する形態、ガバナンスを見出すのが目的で考え出されたものです。
「取引費用理論(TCE)」の要素には
1)不測事態の予見困難性
2)取引の複雑性
3)資産特殊性
の3つがあります。
3)資産特殊性とは、2社のビジネス関係において一方の企業のビジネスに不可欠な
「特殊な資産・技術・ノウハウ・経営資源」などがもう一方の企業に蓄積されることを指し、
それが発注側に大きな不利益と多大なコスト増の可能性を示唆しています。
ITアウトソーシングをITベンダーに外注するときは、社内の様々な情報をベンダーに提供する必要が
あります。ITシステムはそのクライアント企業・事業部向けにカスタマイズされることも多く、
中身は複雑でクライアント企業だけでハンドリングできるものではありません。そのため、数年経過して、
クライアント企業がシステムを更新したい時、たとえば数年前でいうとスマホ対応の必要がでてきたり、
決済方法を多用に対応しないといけなくなったり、セキュリティの問題も出てきたりします。
それらの対応に、そのベンダーに見積もりを出してもらうと、前回よりもはるかに高い金額を
要求されてしまいます。
金額にビックリして他のベンダーに切り替えようとしても、すでに社内の重要情報が当該ベンダーに
蓄積されていて、そのベンダーによってカスタマイズされた複雑なITシステムが組み込まれているため、
他者がでを出せない状態になってしまっていることが多いのです。結果的にそのベンダーに
高い金額を払って、再発注せざるを得なくなる状態が散見されます。
こういったことを加味してショッピングカート等のシステムを検討する必要があると考えています。