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ネットショップ担当者が陥りがちな罠(4)バックヤードキャパと売上アップのトレードオフ

2020年8月15日|EC担当者が陥りがちな罠, Webマーケティング, You Tube

「ネットショップ「勝利の法則」 ランチェスター戦略」(マイナビ出版刊)

■EC担当者が陥りがちな罠(4)バックヤードキャパと売上UPのトレードオフ

売上を上げると、当たり前の話ですが、受注処理業務が増え増す。出荷が増えます。
メーカーさんの場合は製造現場も仕事が増えます。原材料も多く発注する必要があります。
商品を仕入れている場合は仕入れ量が増えます。必然的にキャッシュフローの問題も出てきます。
これらをまとめて今回はバックヤードと呼ぶことにします。
売上アップが10%~20%だったら「がんばります」レベルで対応も可能だと思いますが、
売上アップが2倍3倍4倍となると話は変わってきます。
しかし、ネットショップにおいてはそういった急激な売上アップが起こる可能性が実店舗よりも高いのです。
なぜなら商圏が日本国中だからです。人口10万人の地域で実店舗を運営している場合、
1%が顧客とすると1000人ですが、お客様が10%増えると言うことは100人増えることになります。
しかしそれが100万人レベルの商圏になるのがネットショップなのです。1%で1万人、
お客様が10%増えるということは1000人増加することになるのです。
これは実はネットショップでは実際に起こります。
「当店は売上はいくら増えても大丈夫です!おもいっきり上げてください!」
とおっしゃるネットショップさんに限って、本当に売上が4倍になると、とたんにバックヤードが
悲鳴を上げます。メーカーさんの場合まず崩壊するのが製造現場です。
たとえばお肉屋さんの場合、肉を切るという作業は思った以上に重労働なのです。
月商100万円だったお店が500万円になると、肉を切る作業者が1名の場合、
一晩中切り続けても間に合うかどうかわかりません。その作業者さんが社長だった場合、
売上は上げたいけれど、売上を上げると夜通し肉を切らなければならない、
という膨大な作業が待ち受けることになり、気がつくと売上が落ちていることがよくあります。
これは経営者としては売上アップは望ましいのですが、肉を切る作業者としては体力が持ちませんので、
苦痛を伴っていきます。一人の人間で相反する心理状態に陥るので精神的にアクセルとブレーキを
同時に踏んでいる状態になり、500万円だった売上がいつのまにか300万円、250万円と
落ちていきます。
ある日本の伝統工芸品のネットショップさんも売上がほとんど無いのでまずは月50万円を目指して
経費を捻出したいです、とおっしゃったのですが、一つ一つの商品が手作りで
さらに加工難度が非常に高く、8万円の商品の場合、月に2個しか作ることができず、
600円の小さな商品でも300個が限界、つまりこのお店の場合、上代16万円が生産量の限界
だったのです。それで月50万円売りたい、とおっしゃっていたことになります。
これを「バックヤードキャパと売上UPのトレードオフ」問題と呼んでいます。
問題解決には、バックヤードキャパシティの「ボトルネック」を見つけてそこを解決していく
ことになります。
たとえばお肉屋さんの場合は、お肉を仕入れる段階である程度カットしてもらう、
もしくは作業員を増員することでボトルネックを解消することになります。
日本の伝統工芸品のショップの場合は、増員するにも加工難度が高く、新人を増員しても
半年間は育成期間がかかるためすぐには増員できないというボトルネックも存在しました。
そこでバリューチェーンの中の製造工程をユーザーに委ねる、という「キット販売」をすることで
それらのボトルネックを解消することができたのです。